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いま再び熱を帯びる街 デトロイトの魅力とは

ミシガン州と聞いてまず思い浮かべるのは、マイケル・ムーア監督の映画『ロジャー・ミー』に出てくる廃墟の街、デトロイトシティかもしれません。しかし、駐在の日本人が実際に多く住むのはデトロイト中心部から離れた郊外の閑静な住宅街です。そして、確かに一時製造業の衰退から財政破たんまで経験した市の中心部自体も、今はその将来に期待が集まっている。今回は、ものづくり大国日本と関わりの深いデトロイト郊外と、目まぐるしい変化を遂げる都心部の現在を紹介します。

日本人駐在者に人気 安全で高級な住宅が並ぶデトロイト郊外の都市

デトロイトから離れると、安全でこじんまりとしており日本人が多く住む街が各所にあります。まず、デトロイト中心部から北西に40キロの場所に位置する近郊都市ノバイ。人口5万5千人のうち日本人は2500人を占め、「ミシガンのリトル・トーキョー」と呼ばれています。自動車産業が盛んで、米Google社が自動運転車の研究開発拠点をここノバイに設置することを発表しました。またケロッグの本社があることから「シリアル・シティ」とも呼ばれる、人口6万人の小さな町バトルクリーク。こちらも自動車を始めとする製造業が盛んで、デンソーや片山製作所など日本企業が多く居を構えることから500人以上の日本人が住んでいます。その他、ミシガン州で最も治安が良い都市とされるファーミントンヒルズにも曙ブレーキや日産自動車のテクニカルセンターが進出しています。

ミシガン州で働く日本人は、こうしたデトロイトシティからは少し遠い中・高級住宅街に住むケースが多いです。邦人向けの教育機関、日本食のスーパーなども揃い快適に生活することができます。

 

栄枯盛衰を経て再び開発が進むデトロイトシティ

一方で、ミシガン最大の都市デトロイトシティはかつて「世界最大の工業都市」として栄華を極めながら、自動車産業の凋落とともに景気の落ち込みと人口減少に見舞われました。2013年には市の財政が破たんし、治安の悪化から「アメリカで最も危険な都市」ランキングの上位常連にもなっています。

しかし、そのデトロイトにも今、復興の兆しが見えてきています。

まず、フロンティア精神を携えアメリカ中から集まる起業家たちが次々とスタートアップ企業を創り出しています。サンフランシスコやニューヨークの地価高騰が続く今、遥かに安価なデトロイトの物件は彼らにとって何より魅力的です。数々のベンチャー企業の成功の象徴と言えるのが、腕時計を製造するシャイノーラ デトロイト社です。もともとは自動車など製造業に従事していた器用な手先とスキルを持った現地の市民を雇い、高性能高品質な製品を生み出しています。「アメリカ製造業の復活」というストーリーと共に国内で人気を博し、オバマ大統領も愛用していることでも注目を浴びました。市の中心部にはこのほかIT関連の企業も多く進出しており、ミッドタウンのアパートの入居率は99%を超えるといいます。

進む再開発と新規雇用の創出

こうした動きを受けて、都市部の再開発も今日急激に進んでいます。「ザ・ディストリクト・デトロイト」(The District Detroit)は民間企業によるダウンタウンの50区画を一つの商業施設にする大規模な開発計画です。これに先立ち今年5月にはナイキのコミュニティストアもオープンし、町は今建設ブームと新規雇用創出の真っ只中にあります。

こうした中で、アーティストたちの活躍も見逃せません。2000年代の10年間に世界で最もアルバムが売れたアーティスト、エミネムは2014年に廃墟を舞台にミュージックビデオを撮影し話題になっています。そうした差し押さえ物件の廃墟に入居して若者が創作活動を行う動きが出てきています。20世紀末には犯罪率の高さからアートギャラリーが次々と閉鎖したこの町に、今ミューラル(壁画)を始め手入れが施された色とりどりのパブリックアートが息を吹き返してきている事実は、治安が改善され安定しつつある証でもあります。

街頭の設置やバスなど公共交通手段の提供には、もはや行政には頼るまいと市民自らが尽力。ベンチャー企業、不動産投資家、大手企業、アーティスト、そして市民たちが生み出すパワーを受け、かつての「モーターシティ」は今、更に魅力的な都市として生まれ変わろうとしています。

製造業を始め、デトロイトでは今日も多くの日本企業がアメリカ市場での活動拠点を構えています。アメシンでは、現地での売上向上や新規アメリカ進出を目指す日本企業のみなさまに、視察から進出の手引き、また運営のアドバイスなど多岐に渡って長期的にサポートをご提供しております。

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